灰色

簡素な感想。初見の感想の備忘録。

震える舌を観た

アマゾンプライムビデオのトップページでレコメンドされていたので視聴。いつものことながら原作は未読。

ジャケットからホラーかと思っていたが、実際のところ、ホラーのほうがマシだった、とおもってしまうほどに、凄まじい内容だった。自分ではない他人(家族ではあるものの)の苦悶に直面する人間の内面、親でありつつも我が身を重んじる1人の人間であるが故の葛藤、その当時における医療現場の現実、破傷風患者の病状、をそれぞれ生々しく描ききっていて、近年においてはコンプラにひっかかるほどであろうほどのそれは目を背けたくなるほど(個人的に父方のお婆ちゃんがめちゃめちゃリアルだった、うわーこういう人いるよなあ....って)。

また、作品の舞台が、病室のなかでのどこにだって有り得る現実でしかないからこそ、夢・回想におけるサイケデリックな演出、随所で挿入される美しいチェロの小曲、が効果的で、とても印象的だった。

現実と地続きの世界観であるからこそ、この作品がハッピーエンドで良かったと思う(SFならば、また別なんだけど)。あまりに強烈であるために、しばらく見返すことはないと思うが、心に残って離れないであろう名作。